グラフィックデザイナーとの違い
「紙の世界」と「Webの世界」では、成果物もワークフローも前提が違います。
まず押さえておきたいのは、Webは"納品して終わり" ではなく、公開してからも更新し続けるメディアだということです。
| 観点 | グラフィックデザイナー | Webデザイナー |
|---|---|---|
| 成果物 | 印刷物(紙・看板など) | Webサイト・Webサービス |
| サイズ | 固定(A4・B2 等) | 可変(PC/タブレット/スマホ) |
| 納品形式 | 入稿データ(AI / PDF) | デザインデータ → HTML/CSS 実装 |
| 修正 | 印刷前までが勝負(刷り直し不可) | 公開後も更新し続ける前提 |
| 関わる人 | 印刷会社・クライアント | ディレクター・エンジニア・クライアント |
一番の違いは「更新し続ける」という前提があること。紙は刷ったら終わりですが、Webは公開してからが本番です。この感覚の違いが、ワークフロー全体に影響してきます。
Webデザイナーに必要なスキルセット
大きく 3 領域+α。「コードを自分で書けるかどうか」は必須スキルではありません。むしろ重要なのは、設計と判断、そして人と AI に的確な指示を出す力です。
デザインスキル
UI・レイアウト・タイポグラフィ・色の扱い。グラフィック出身の方は、ここがそのまま強みになります。
ディレクションスキル
クライアントの要件整理・進行管理・チーム内外のやりとり。実は、ここが一番比重が大きかったりします。
最低限の Web 知識
HTML / CSS を読めるレベル。エンジニアとの会話で困らない程度があれば OK。
コードは "自分で書かなくて大丈夫"
コードを書くのはエンジニアやAIの役割です。デザイナーは「設計して渡す・指示する」側でOK。ここ、よく誤解されるポイントです。
コードが書けなくても大丈夫。大切なのは「何を作りたいか」を人やAIに正しく伝える力です。これがあれば、Webデザイナーとして十分に活躍できます。
Webデザイナーの働き方
大きく 3 パターン。グラフィック出身者の最初の一歩としては「副業」または「フリーランスで小規模案件から始める」が現実的です。詳しい始め方は Page 07 で扱います。
インハウス
企業のデザイン部やマーケ部などに所属して、自社サービスをじっくり育てていく働き方です。
副業
本業を持ちながら週末や夜間に受注するスタイル。初心者の入口として一番現実的です。
フリーランス
独立して複数のクライアントを並行で受注。営業・見積もり・契約まで自分で行います。
このガイドの立ち位置
本ガイドは「デザインはできるが Web が未知」という方向け。Page 06 でクライアントワーク、Page 07 で始め方を詳しく扱います。
Webデザイナーの守備範囲と、その外側
Webデザイナーとして仕事をするうえで、「ここは自分の担当か、エンジニアにお願いすべきか」を判断できることはとても大切です。
クライアントへの説明、見積もり、チームへの依頼——すべてがこの線引きで変わってきます。
Webデザイナーの範囲外(エンジニアが必要)
- 会員機能・ログイン・マイページ
- EC カート・決済処理・在庫管理
- 予約・申込システムのバックエンド
- データベース設計・API との接続
- セキュリティが絡む個人情報処理
- サーバーサイドのプログラミング全般
グレーゾーン(外部サービスで代替できるケースも)
- フォーム送信処理 → Formspree / Google Forms で代替可
- 簡易ブログ機能 → WordPress / Notion API で代替可
- メルマガ・自動返信 → Mailchimp / SendGrid で代替可
「わかりません」と言える勇気が、信頼をつくります
範囲外のことを正直に伝えて、適切な専門家につなげるディレクターは、クライアントから長く信頼されます。「持ち帰って確認しますね」「ここから先はエンジニアと一緒に検討させてください」——そう言える人こそ、結果的に大きな案件を任されるようになっていきます。